下肢静脈瘤を自分で治す方法はあります。ご自身の足の状態がまず自分で治せる程度なのかどうかがとても大事になります。
- 自分で治す=薬
- 自分で治す=サプリメント
- 自分で治す=マッサージ
- 自分で治す=ツボ
- 自分で治す=マッサージ機
- 自分で治す=運動
- 自分で治す=靴下
- 自分で治す=ストッキング
今回は
2.自分で治す=サプリメント
についてお話しします。
サプリメントが静脈瘤を軽くすることができるのでしょうか?
サプリメントで治療が可能な範囲の静脈瘤は、太さが1mm程度のクモの巣状静脈瘤や網の目状静脈瘤といった、軽症な静脈瘤に限ります。このくらいの太さであればサプリメントに含まれている成分が血管に作用することもあります。上の写真の状態では1mmを超えている範囲が多いので、サプリメントでは治療は難しくなります。
しかし、サプリメントは高価で海外のものを個人輸入する必要があります(成分が高く、有効なものはほぼ海外のものになります)。残念ながら国内のサプリメントは添加物や糖分の方が有効成分よりも多く含まれていることが多いため、飲むことのリスクの方が高いと考えています。
そして、有効成分が効いている間は効果があっても、飲むのをやめてしまうと再発するため、経済的に厳しいのではないかと思います。一時的に試すのはいいのかもしれませんが、お金がいくらあっても大変なのではないかと思い、当院ではサプリメントは患者さんにとって利益になるとは思えないため(クリニックにとっては運営上いいのかもしれませんが)、患者さんに処方していません。
サプリメントをいくつか例に挙げて、それらについて説明をしようと最初思っていましたが、高額になることと続けることが難しいという点からドラッグストアで買えるものを中心にクリニックで処方してもらえるものに限定して説明しようと思います。サプリメントをどうしても欲しいと思っておられる方はすみません。
ふくらはぎや太ももに糸ミミズのような血管が浮いているような静脈瘤ではなく、むくみ・こむら返り・だるさなどの症状に対する治療をしたいという場合に
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)→ 芍薬(シャクヤク)と甘草(カンゾウ)で構成されています。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)→
防已(ボウイ)、黄耆(オウギ)、蒼朮(ソウジュツ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)で構成されています。
柴苓湯(さいれいとう)→ 柴胡(サイコ)、 沢瀉(タクシャ)、 半夏(ハンゲ)、 黄芩(オウゴン)、 蒼朮(ソウジュツ)、 大棗(タイソウ)、 猪苓(チョレイ)、 人参(ニンジン)、 茯苓(ブクリョウ)、 甘草(カンゾウ)、 桂皮(ケイヒ)、 生姜(ショウキョウ)
が代表的な主成分になります。
甘草は幅広く使用されており、鎮痛、抗炎症が主な作用です。そのため、甘草を含んでいるものを組み合わせて過剰に摂取することのないように注意が必要です。
甘草を一日、7.5g以上摂取することが多くなると、低カリウム血症を引き起こすことにつながります。
低カリウム血症になると、筋肉と神経に影響を与えるため、初期の自覚症状としては手足の脱力感、筋肉痛、動悸が起こります。
下痢などによる一過性のカリウム低下ならすぐに回復しますが、長く症状が続く場合は治療が必要です。
進行すると、足のまひから歩行困難、起立困難となり、入院が必要になる例もあります。
意識消失発作、多尿や排尿困難、便秘、イレウス(腸閉塞)などを引き起こす場合もあります。
また、不整脈が出ることもあり、特に心臓の病気を持っている方には注意が必要です。糖尿病患者もインスリン投与が低カリウム血症を悪化させるため注意を要します。
実際に市販されているものでは、
小林製薬のコムレケア
ロート製薬のツラレス
が有名だと思います。
病院やクリニックに行くのはめんどくさい、すぐに試してみたいと思われる方は市販のもので十分です。しかし、長期に内服したい、他に病気がある場合は医師の診察を受けてから処方箋をもらったほうが安全です(後述の副作用を回避するため)。
クリニックで処方されるものについては芍薬甘草湯を例に挙げると以下の通りたくさんの製薬会社から販売されています。
東洋薬行 〔東洋〕芍薬甘草湯エキス細粒
小太郎漢方製薬 コタロー芍薬甘草湯エキス細粒
ツムラ ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)
本草製薬 本草芍薬甘草湯エキス顆粒−M
康和薬通 ジュンコウ芍薬甘草湯FCエキス細粒医療用
帝國漢方製薬 テイコク芍薬甘草湯エキス顆粒
クラシエ製薬 クラシエ芍薬甘草湯エキス細粒
松浦薬業 マツウラ芍薬甘草湯エキス顆粒
とても身近な薬ですね。
近くの薬局で取扱のない製薬会社だと他のメーカーに変更になることも多いので、必ずしも医師が処方した通りの薬が出るわけではありません。
それ以上にこの薬は飲み方が大事になってきます。
これは飲んでいるけど、効かないという患者さんが多いため、どのように内服しているのかを詳しく聞いていくと、
「お水で、粉を直接口に入れて食後に飲んでいる。」
「オブラートに包んで、水で飲んでいる。」
と答える方がとても多く、これでは効きにくい。
漢方薬には名前の最後に「湯」と書かれているものが多くあります。これは飲み方を教えてくれています。
つまり、インスタントコーヒーみたいに「お湯に溶いて飲んでください」と伝えているのです。
飲むタイミングもこむら返りや足がつることが早朝であるのであれば、寝る直前に一袋だけ(2.5g)内服してもらっています。それでも症状が出る場合は日中にさらに一袋追加で内服してくださいとお伝えしています。
せっかく飲むのであれば、よく効く飲み方を覚えてもらいたいので、そのかたにあった飲み方を外来でお話ししています。医師に聞きにくい場合は薬剤師さんに飲み方を聞いてみてくださいね。
静岡静脈瘤クリニックでは、少し気になっているけれど、怖くて何だか行きにくい、ハードル高いと思われる患者さんに対して、「無料で静脈瘤の検査」を行っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。