むくみはマッサージでなおるのか?

むくみをマッサージでなおすことができるという人と、マッサージなんかじゃむくみはなおらないよという人がいます。
どちらも正しいのです。ではなぜ言っていることが真逆なんでしょう?困ってしまいますよね。

夕方にむくみを感じている人が、むくみを感じることが少なくなってきたら、それはなおってきたと言ってもいいかもしれません。しかし、いつもむくむ時間は決まっています。そして、むくみの程度とピークもだいたい同じような感じです。

むくみの原因がリンパなのか、血流なのかでマッサージのやりかたも変わってきます。ぐいぐいと揉みほぐすようなマッサージはリンパに溜まったむくみをなおすのには向いていません。むしろリンパを傷つけてしまい、周りの脂肪に炎症をひき起こすため、あとで硬く痛くなったりすることが少なくありません。やってもらっている最中はとても気持ちがいいので、これを続けていたらむくみがなおるんじゃないかと思ってしまいます。もみ返しと呼ばれているのは筋肉がダメージを負った状態なので深さは違えど、炎症を起こしていることには変わりがありません。

「マッサージをやってもらった感」はあるかもしれませんが、その瞬間だけ気持ちがいいだけで、長い目で見るといいことはあまりありません。あくまでリラックス効果を得たいとか、おしゃべりしているのが楽しいとかエンターテイメントとしての効果を得たいのであればいいかもしれませんが、むくみをマッサージでなおしたいと本気で思っている人にとっては好ましい場所とは言えません。

そういう人たちはチケットなどでリピートしてもらわないと仕事が成り立ちませんから、引き止めるのに必死になるのも致し方ないのかもしれませんが、通えば通うほど悪化して炎症を起こしてから「リンパが詰まりましたので、これは病院に行ってください」と丸投げする人も少なくないのです。受け皿としてのクリニックなので、そういう声を日々外来で聞いているとなんだかとてもいたたまれない気持ちになります。「どうせやるならちゃんとやってほしいなあ。悪くなったら自分のせいにはしたくないし、返金もしたくないんだろうけれど、それはどんなもんだろう」と。

話が少しそれましたが、むくみの原因がリンパにあるのか、血管にあるのかは超音波による検査で大まかではありますが判断することができます。もちろん採血などをすれば原因が特定できることがありますが、大抵の場合は採血に異常が出ることのほうが少ないため、「何も異常はありませんね、でも利尿剤をちょっと試してみましょうか」と言われて薬を飲み始めても、夜おしっこの量が増えてしまってしょうがないと眠い目を擦りながら外来にこられる人もおられます。簡単に利尿剤を出すようになってしまっているのも「みんな薬を出すのも、飲むのも好きなんだな」と思って話を聞いていますが、いやはや。

むくみの原因が血管にある場合ですが、正確には血管自体に問題がある場合と、中を流れている血液に問題がある場合に分かれます。血管の弁が悪くなってしまっているのが静脈瘤によるむくみで、血液が貧血や低タンパクで薄くなってしまっているむくみになります。血管が細かいものがチラチラと浮いていたり、ミミズのような血管が浮いてぷにぷにと触れるようになったり、だんだんとボコボコしてきたりするとようやくこれは何かしら?とスマートフォンを片手に調べることが多いようです。

かかりつけの先生に「最近足がむくんできて、血管が少し浮いているように見えるんですけど、大丈夫でしょうか?」と質問するとほとんどの場合は「血管が少し浮いてきたからって、それがはぜるわけじゃないし、死ぬわけじゃないから放っておいて大丈夫ですよ。歳を取れば誰でもそういう足になりますから。この血管の手術は入院して血管を引っこ抜く手術ですから、痛いですよ」なんて言われたときには「はあ、そうですか、歳だからしょうがないんですね…(何でも年のせいだなあ)」などと釈然としないまま診察室を後にされることが多いのですが、昔はそういう血管を引っこ抜く手術しかなかったので、間違った情報でもないのですが、新しい情報に更新されていないのが問題かもしれません。しかし、一人で色々な患者さんをみているとそこまでとっても手が回らないのもいたしかたないのではないかとも思います。

血管のむくみであればカテーテルの日帰り治療で15分くらいで終わってしまうことも多いのですが、そのむくみの原因が血管であるかどうかというところまで辿り着くのはとても難しいことのようです。

「そんなこというけど、どこに行っていいのかわからないんだよね」と行って困っている人がとても多いので地道ではありますが、認知してもらえるようにこういった記事をコツコツと書いています。

これを見て「無料でやってるならちょっと買い物のついでに見てもらおうかしら」と思ってもらえると嬉しいです。セノバに買い物のついでに寄ってください。横に有名なハンバーガー屋さんもありますし。

静岡静脈瘤クリニックでは無料静脈瘤チェックを毎日行っています。不定期ではありますが、土曜日も月に一度無料静脈瘤チェックをやっていますので、ホームページを参考にされてください。

「足の痛み」と「静脈瘤」の関係について

「足が痛い」というとき、そこにはさまざまな原因があります。

その痛みには、刺すような鋭い痛みと鈍い痛みの二つにおおきく分けられますが、静脈瘤による痛みはこのどちらも当てはまることが多いのです。

鋭い痛みを生じるときというのは

こむら返り

足がつる

といった急性期(いきなり生じる)に起こります。

そのため、回復する時間も早いのですが、その痛みの程度が強いため強烈な記憶として残り、その後もその痛みがまた起こるのではないかという不安へとつながります。痛みの部位を特定することが容易であるため、何が原因かは簡単にわかることが多いです。検査ではわかりません。

一方、鈍い痛みは

足が重だるい

足がジンジンとして不快

血管が浮いているところが赤く腫れてきた

しびれたような感じがする

皮膚が茶色くなってきて痒みがある(痒みは痛みの親戚です)

といった慢性期(痛みを生じている時間が長い)に起こります。回復するにも時間がかかります。何が原因で慢性的な痛みが起きているのか、検査によってわかることが多いです。

痛みの種類で、ある程度原因は絞られてきますが、肝心の検査方法が適切でないとたどり着くことはできません。その際にある程度の「アタリ」をつけておく必要があり、無駄な検査はできるだけ避けたいものです。

つまり、足の「どの深さ」で問題が生じているのか、それとも「足以外の場所が原因」で生じているのかを判別する必要があります。

具体的には足の形なのか、ふくらはぎの問題なのか、腰なのかということになってきます。レントゲンをひたすら撮影しても骨しか映りませんし、神経や血管の判定には使えません。推測することはできますが。超音波やMRI、CTなどによる検査をする必要がありますが、よほどのことがない限りすぐにMRIやCTをしてもらえることはありません。

ではどうしたらいいのか?

何科にかかったらいいか分からない。そう言われます。

足の血管が浮いているわけでもない場合は、とくに難しい。

でも、そういった方にこそ「下肢静脈瘤かもしれない」と思ってもらえるといいかなと思います。
とくに診てもらうほど、見た目がなにかひどいわけでもないかもしれません。お金を払うのもちょっと…と思うかもしれません。静岡静脈瘤クリニックでは無料で静脈瘤チェックを毎日おこなっています。

日々の診察でよくある例を挙げたいと思います。
少し診察風景をのぞいてみましょう。

「おはようございます、今日は足がどのようなことでお悩みですか?」

「はい、最近足が痛くて…。朝起きたときはいいんですが、夕方になるとふくらはぎがパンパンになるんです。靴下のあとが食い込むくらいくっきり。ジンジンしてくるような痛みというかせつない感じもするし、おおぼったいようなはばったいような何だかすごくイヤな感じなんです」

「それはつらいですね。それはいつからですか?」

「子供を産んでからなので30年くらい前でしょうか。妊娠していたときにも同じような症状があって、婦人科の先生にそれは下肢静脈瘤だと聞いていましたが、出産すれば治ると言われてしばらく放っておきました。一度よくなったんですが、二人目を出産してから治らなくて子育てが忙しくて長いこと病院に行けなかったんですが、子供も大きくなって、親の介護もひと段落したもんですから、そろそろ自分の身体も治したいなと思って来ました」

「そうですか、そういう方はとても多いですよ。自分のことは後まわしになってしまうけど、そろそろつらいから治したいと仰る方がよく来られます。子供や親の世話をしていると自分の時間を平日にゆっくりとることはなかなか難しいですよね。ご主人が病気だったりするとさらにそんな時間はどこかにいってしまう。さて、血管がふくらはぎの内側に浮いていますが、それも出産してからですか?」

「はい、出産してからです。立ち仕事だったり事務仕事で座り仕事だったりして来ましたので、長い時間同じ姿勢をしていることが多いんです。あまり頻繁に歩くわけではないんです。ずっと机の前に座っていることもあったり、接客でずっと立っていたり。気がついたら最初少しふくらはぎの内側にあったふくらみがどんどん大きくなってきて、太ももの内側の方にまで広がって来ました」

「そうですね、下肢静脈瘤は進行すると太ももまで広がってくることが多いです。では詳しくみていきましょう」

こういうようなお話をしながら診察を進めていきます。足を見て、触りながらむくみがあるかを診ていきます。チラッと足を横目で見るだけでは診察はできませんので、小さな低い丸椅子に僕は座ってベッドに腰掛けている患者さんの足を診察していきます。同じような目線にしないと足のことがよく理解できません。医者用の大きな椅子と机の上にあるパソコン、患者さん用の小さな椅子というスタイルではないので、ちょっと変わっているかもしれませんね。

どうぞお気軽にご相談にいらしていただければと思います。
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