下肢静脈瘤を自分で治すには?

下肢静脈瘤を病院やクリニックに行かずに、自分で治す方法はあるのか?できれば自然に治したい。ストッキングや食事、マッサージ、ツボなどで治すことができないだろうか?

皆さん、そう思ってネットで検索されています。
「自分で治せる範囲」と言うのはもちろん存在します。

一番大事なのは、ご自身の「症状」なのです。

つまり、その症状が血管のボコボコした「見た目」なのか、「痛み」「だるさ」「むくみ」「こむら返り」「血栓」などの自覚症状なのかによって変わってきます。

そこで、「自分を治す」をこれから細かく分けて、どの症状のときにはどんな治療法があるのかを順番にお話ししていきたいと思います。

  1. 自分で治す=薬
  2. 自分で治す=サプリメント
  3. 自分で治す=マッサージ
  4. 自分で治す=ツボ
  5. 自分で治す=マッサージ機
  6. 自分で治す=運動
  7. 自分で治す=靴下
  8. 自分で治す=ストッキング

 

今回は

  1. 自分で治す=薬

についてお話しします。

 

  1. 自分で治す=薬
  • 医者が処方する薬で下肢静脈瘤を直接治す薬は、残念ながらありません。しかし、その症状によっては治療が可能な薬がいくつかあります。
    • 足の違和感や不快感には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
      • 蜘蛛の巣状静脈瘤などの細かい血管が、かゆい、痛い場合。1〜3ヶ月ほどの内服が必要です。
      • むくみ、だるいといった不快な症状に対して効果的です。あくまでも、静脈瘤が原因で起きている静脈うっ滞による症状(むくみ、だるさ)が改善します。
      • この漢方薬は、草の根や木の皮などの様々な天然物(生薬)を組み合わせてできています。桂枝茯苓丸に含まれる桂皮は、シナモンと同属種の樹皮です。
      • この薬はもともと女性に処方されることが多い漢方薬です。主に血の巡りを良くしてむくみやうっ血を取り除くことで、頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、あしの冷えなどや、月経異常のある婦人に効くとされ処方されています。特殊な薬ではありません。
    • 足の血管が赤く腫れて痛いときは柴苓湯(さいれいとう)
      • 黄芩(オウゴン)という炎症をやわらげる生薬から構成されており、血栓による炎症の痛みを和らげてくれます。
      • 必ず、インスタントコーヒーのようにお湯で溶いて飲んで下さい。効き目がよくなります。
    • 足のむくみには五苓散(ごれいさん)
      • 五苓散は主に、水分循環を改善し、無駄な水分やむくみを取り除く生薬から構成されています。
      • お酒を飲み過ぎた日に、内服することでむくみが改善されます。
    • 足のしびれ、冷えには牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
      • もともと高齢者の頻尿(特に夜間頻尿によく使用される薬です。
    • こむら返り、足がつるときは芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
      • 内科や整形外科でよく処方される薬です。最初は夜寝る前に一度飲むようにして下さい。
      • 一日3回処方されていることもありますが、飲み過ぎです。なぜなら、甘草が多く含まれているため、低K血症を来たし、偽アルドステロン症(顔や手足のむくみ、体重増加、脱力感、嘔気など)やミオパチーを起こすからです。内科の先生(特に腎臓内科、循環器内科)はこの副作用をとても気にされています。
      • 必ず、インスタントコーヒーのようにお湯で溶いて飲んで下さい。効き目がよくなります。

 

いかがでしたでしょうか?見た目の改善と、自覚症状の改善が可能な薬は存在します。
ご覧の通り、漢方薬が中心となります。漢方薬は効き目がゆっくりと言うイメージがありますが、芍薬甘草湯は内服後15分後から効いて来ることが多く、おやすみ前に飲んでおくと夜中に足がつって目が覚めてしまうことは減ります。安心して朝までお休みいただけるのではないでしょうか?

これらの漢方薬はずっと飲む必要はありません。まず1ヶ月内服してみて下さい。どんなに長くても6ヶ月をめどに試してみるのがいいです。もちろん静岡静脈瘤クリニックでも保険で処方が可能なので、費用を抑えて治療を行いたいと言う方にも安心していただけるのではないかと思います。

ちょっと気になると言う方は「無料血管チェック(静脈瘤検査)」を行っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。院長がお話をゆっくり聴き、「どのような状態であるのか」、「どのような治療があるのか」をお話しします。

お待ちしています。

スネがかゆい。かじったら茶色く広がった、何でいつまでもなおらないのか?

下肢静脈瘤というとスネやふくらはぎの血管がボコボコと浮いているのが典型的ですが、ボコボコと目立つような血管がほとんどない場合もたくさんあります。

 

いつの間にかかじったキズがなかなかなおらず、広がったしまった。そのうちに色が茶色くなってしまった。冬になるとすぐにかゆくなって、またかじってしまう。

 

かゆみ止めを塗っても一時的。でも、血管は昔から浮いている。

この血管がかゆみの原因になっているだなんて、知らなかった。

 

下肢静脈瘤の症状のうち、多いのは「重い、だるい、こむら返り、足がつる、ジンジンと変な感じがする、パンパンにむくむ、痛い」というもの。

 

かゆい、皮膚が茶色いでは、それが下肢静脈瘤からきているとは思う方はほとんどいません。

小さなキズから始まります。そしてそれはほぼふくらはぎやスネの下の方にできるのです。

 

ただでさえ、血流の悪い場所なので、そこが下肢静脈瘤になるとさらに血流が悪くなります。そのため、ちょっとした「ひっかきキズ」でも、なおるのが遅くなってしまい、その間にまた「ひっかきキズ」ができると、いつまでたってもなおらないどころか、ジュクジュクが広がってしまいます。

 

ジュクジュクしたところをなおすのにはステロイドの軟膏を用いることがよくあります。まず、ひっかくという行為をさせないことが一番大事なんです。

 

しかし、こういった皮膚の茶色さや湿疹があるかたはお風呂で「よく洗います」。

そうすることにより、皮膚の脂分がなくなってしまい、高温にさらされるため、かゆみが強くなってしまうため、さらにひっかきたい衝動によって、刺激が加わりどんどんとひどくなっていきます。

 

お風呂では「石鹸を使わない」「ゴシゴシとタオルでこすって洗わない」ようにしてもらい、入浴後はすぐに軟膏を塗ってください。すると普段よりも薬の浸透率(吸収される力)が格段に上がります。同じ量の薬を塗るのにも、タイミング一つでまったく変わってきます。

 

軟膏は確かにかゆみを止めてくれはするのですが、根本的に湿疹をなおしてくれるわけではありません。根本的な原因である下肢静脈瘤を治療することで、これらの症状を少しずつ改善することができるのです。

 

一度茶色くなってしまった皮膚が元に戻るのは長い時間が必要です。3ヶ月から6ヶ月は普通にかかってしまいます。1年くらいかけてゆっくりなおってくることも稀ではありません。

 

その間には日光に長時間晒されるのもリスクになります。日光により色素沈着が遷延してしまうため、できるだけ、直射日光にさらされないことがとても大事な要素になります。

 

皮膚の状態を常に「柔らかい状態」にするということが全ての基本となるため、それ以外の状態、つまり「硬い皮膚」「赤茶色の皮膚」「押すと凹む皮膚」「粉を吹いている皮膚」はベストな状態とは言えません。

 

ちょっとした傷からリンパ液が漏れ出て、炎症(足が赤く腫れてしまう)を引き起こすことにもなりかねません。一度蜂窩織炎のような炎症になってしまうと、皮膚は硬くなり、リンパ液の流れも悪くなってしまうため、治療に更なる時間と労力(冷やしたり、抗生剤を飲んだり、点滴したり、行動の制限)が必要となってしまいます。

 

傷が塞がれば、まだ一安心できるのですが、リンパ液が流れ出てくる小さな道筋になってしまうと、わずか数ミリの傷跡にもかかわらず、ポタポタとリンパ液が垂れてきて靴下やズボンが水浸しのような状態になってしまいます。こうなってくるとどんな薬をつけても治らず、まず「圧迫」での治療が重要となってきます。

 

圧迫治療も包帯かストッキングかで、その後の治療期間が大きく変わってきます。

ストッキングが痛くて履けない、サイズがないなどの状態では包帯を選択しますが、基本的にはストッキングでの圧迫が好ましいです。その理由は、「圧がいつでも一定にかかるから」です。包帯は巻く人や巻き方で大きく圧の差が出てしまい、難しいのです。

 

圧迫の基本は足の先端から太ももにかけて、徐々に圧が弱くなってくようにすることです。

これが逆になってしまうと首を締められてしまったような状態になってしまうため、足先に浮腫が出てきてしまい、かえって血流を悪化させることになってしまいます。

 

たかが包帯、ストッキングと思われるかもしれませんが、その時の症状に合わせて選ばないと帰って悪化させてしまうこともよくあります。実際、そのような患者さんをよく外来で拝見します。

 

一度このような状況になるとなかなか根治まで至るのは難しくなります。小さな傷からすぐに悪化することが多いからです。医者ができることは定期的に足を客観的にチェックして細かな傷ができていないか、できていたとしたらどのような対策を施す必要があるかをお話しすることです。

 

ちょっと皮膚の色が赤茶色、赤紫になったからと言って闇雲に恐れる必要はもちろんありませんが、治療をする側は常に最悪の状態から物事を見て判断し、治療法を選択しています。少しでも不安に感じた際には、ご自身で判断して悪化させることのないよう願うばかりです。

少しでも不安を抱えておられる方は、早めに受診をして下さい。当院では無料で相談も可能です。
どうぞお気軽にお問い合わせください。