「足がつる・こむら返り」を注射でなおす

ひざ裏の写真です。これはアザでしょうか?内出血でしょうか?

いいえ、違います。これは下肢静脈瘤と言います。正確には網の目状・蜘蛛の巣状の下肢静脈瘤といい、

下肢静脈瘤の中でも一番程度の軽い状態です。こむら返りや足がつる原因だとしたら、びっくりですよね。

でも

「年だから、しょうがないと思って、ほっといてある」

「病気じゃないから、ほっとくしかないよと言われた」

「見た目を気にするなら、美容だね」

 

こういうことを耳にすると、治療したいという気持ちは潰されてしまいます。

でも、これは治療する方法があるんです。

見た目だけじゃなくて、足がつる・こむら返りも注射で治療できるとしたらどうでしょう?

今日はそんなお話です。

 

朝、自然と目が覚めることは当たり前のことでしょうか?

自然と決まった時間に何事もなく、目が覚める。

実は、とても幸せなことかもしれません。

 

当たり前すぎて、何を言っているのかよくわからないと思われた方はさらに幸せです。

目覚まし時計や家族に起こされるなら、それは日常的なことかもしれません。もしかすると当たり前すぎて、何も思わないかもしれません。

 

しかし、

朝方に足のこむら返りで、「痛くて目が覚めてしまう」方にとっては、自然に目が覚めることは幸せで、夢のようです。

なぜなら、毎朝、「痛み」で叩き起こされてしまうからです。まさに悪夢。いや、目が覚めてからの現実の方が悪夢かもしれません。

これが繰り返されるようになってくると、「寝るのが怖い」となってしまいます。「また朝になったら痛みで目が覚めるんだろうな…」と寝ている間の幸せな時間はどこかにいってしまいます。

「どうにかして、このこむら返りをなおしたい。足がつらないようにしたい」と思ったらまずスマホで「こむら返り 治療」「足がつる 予防」などとネットで検索されることでしょう。

検索すると、たくさんの情報が出てきます。似たような記事が並び、どこが引用元なのかもわかりませんし、医者じゃない人が書いているかもしれません。それが正しい情報なのかもはやわかりません。

脱水で、筋肉がけいれんしてしまう。

芍薬甘草湯などの漢方薬でなおすことができる。

サプリメントを飲めばつらなくなる。

テレビでやってる「かかと落とし」をしているとなりにくい。

夜寝ている間に特殊なストッキングを履いていると足がつりにくくなる。

 

などなど、いろいろな情報が載っていますが、

「モノを売りたい人たち」の広告になっている印象があります。

それに比べるとこの効果療法という治療法はとても目立たずに、なおかつ一度の治療で治ってしまうため彼らからしたらとんでもない治療かもしれません。残念ながらほとんど知られていない治療で、この治療を行っている施設もほとんどありませんので、仕方がないかもしれません。

下肢静脈瘤があると、足がつったり、こむら返りがしやすいので

芍薬甘草湯や弾性ストッキングの治療はもちろん行っています。

これらは手軽ではありますが、薬を飲むのをやめたり、ストッキングを履かなくなったりすると、またこむら返りが起きてしまいます。

 

毎日、何かをしなければならないのはめんどくさくなってきて、長続きはしません。気がついたらやらなくなってしまった。飲まなくなってしまった。でも、こむら返りはなおらない。

治療する前の日常と変わらない日々が繰り返されてしまいます。

ずっとつらいままなのか?と考えることでさらに気持ちが滅入ってしまいます。

そこで当院では、硬化療法という注射の治療を行っています。

1度の注射でこむら返りがほとんど起きなくなるので、とてもいいのですが、

この注射が予防接種くらいの痛みがあります。

これが残念なのですが、何度も注射しなくても済み、毎日のこむら返りや足がつることの痛みから解放されるとしたらどうでしょう。

ついでに見た目もよくなります。イトミミズのような赤い血管が太ももや足首にありませんか?そういったクモの巣状、網の目状の静脈瘤があると、こむら返りの原因になることがあります。

 

この治療法は一般的ではありますが、実際に行っている施設はとても限られてしまうので毎日この治療を行っているところに相談してみるのがいいかもしれません(1mm以下の血管に正確に針を刺して薬を入れていくので、とても神経を使います)。

 

時間にして10分くらいで終了。1度の治療で終わり、1ヶ月ほどは弾性ストッキンングの着用が必要になります。

もちろん保険が効くので、2.5万円ほどの自己負担(3割負担の場合)で治療を行うことができます。

治療の後はすぐに歩いて帰ることができるので、次の日から仕事にいくことも可能です。

休んだり入院したりする必要もありません。

 

合併症もありますが、一時的なものがほとんどです。

 

注入する際の痛み、内出血、腫れ、かゆみなどが早期に一時的に起こることがあります。

色素沈着といって、注射してから2〜3週間後から周辺の皮膚が茶色くなることがあり、これが半年から1年近く残ることがあります。これが一番大きな合併症です。

注射ではありますが、このような合併症もあることを理解した上で治療をしていただければと思います。

無料チェックもやっていますので、「こんな程度の足で行っていいのかな?」と思わずにどうぞお気軽にいらしてください。

当院では毎日、無料で静脈瘤血管チェックをしています。平日に受付をしています。月に一度、土曜日も開催しています。平日は忙しくてなかなか来られない方のための外来です。どうぞご利用ください。

 

静岡静脈瘤クリニック
お電話はこちら 054-275-0770

スネがかゆい、茶色い。どこに行けば?

「スネがかゆい、茶色くなってきた、なかなかなおらない。心配になってきた」

そういうときはかゆみ止めの薬を塗ったり、皮膚科に行ったりすると思います。

冬になるとスネの内側のいつも同じところがかゆくなる。ちょっと茶色いところが段々と大きくなってくる。かゆみ止め塗ってるのに、よくなるのはその時だけ…。

そんなことがよくあるのではないでしょうか?

かゆみ止めを塗ってもなおらない場合、このように考えてもらえるといいなと思います。

  1. かゆみ止めが効かない
  2. かゆみ止めが弱い
  3. 皮膚にそもそも問題がある
  4. 根本的な問題があり、それが皮膚に出ている

 

1のかゆみ止めが効かないというのは、「かゆみ止めの種類が間違っているのか」、「塗り方が間違っているのか」、「そもそもかゆみ止めを使ってもなおらないものなのか」のどれかです。

「かゆみ止めの種類が間違っているのか」についてはステロイドを使うのかそれ以外のものを使うのかに大きく分けられます。ステロイドが怖いからというイメージだけでステロイド以外のものを使っていてもよくなることはなく、かえって長引いて悪くしてしまうこともよくあります。ステロイドの入っていないものや弱いステロイドのものを長期間に渡って塗っている方が治りも悪いし、いいことはないんじゃないかと思っています。これは診察のスタイルにもよるので、弱いステロイドをずっと使いたがる医師もおられます、難しいところですが。

「塗り方が間違っているのか」については、1日2回塗ることが必要なのに、時間がなくて、量を少し多めにして1日1回塗っているなどの問題があります。薬には「効いている時間」というものが存在します。これは封を切るとどんどんと短くなってきますので、3ヶ月以上過ぎたものはほぼ効果が半減していると思っていただいた方がいいかと思います。

効いている時間は薬の種類にもよりますが、6〜12時間です。それを過ぎてしまうとすぐにかゆみが勝ってしまうので、手でかいてしまったりすると、状況は少し治ってきた状態を破壊してさらにマイナスの状態になってしまいます。

「そもそもかゆみ止めを使ってもなおらないものなのか」というのは、皮膚の状態が感染していてジュクジュクしていたり、汁がたくさん出ているような状況です。こう言った場合はかなり重症化していることが多いので、早めに自己判断での薬を塗ることをやめてください。汁を吸ってくれる薬を使ったり、圧迫が必要だったり、組織の状態を調べたりする必要もあるので医師に相談した方がいい状態です。

 

2のかゆみ止めが弱いというのは、正確にはステロイドを使用している場合です。ステロイドも弱いものからとても強いものまで細かく分かれています。怖いからといって弱いものを漫然と長期間使っていることほど、よくありません。ある程度強いものを短期間に塗ることで早期に治療することも十分可能だからです。これも医師の判断でないと難しく、皮膚科の知識を要します。

 

3の皮膚にそもそも問題がある、についてはかゆみ止めはあくまでその場限りのものであって、根本的な治療にはなり得ないということです。皮膚の状態がどのようなものなのか、診断する必要があります。組織を顕微鏡で見たりすることもよくあります。場合によっては皮膚を少し取る必要もあります。

 

4の根本的な問題があり、それが皮膚に出ている、というのはどうして皮膚にそのようなものが出ているのか?その原因は皮膚ではなく、他が原因ということです。これが血流障害によって引き起こされているものだったり、リンパの流れが悪くて起こっていたり、お腹の中に何か問題があったり、薬の副作用だったり、何かのアレルギーだったりします。

一つ一つ考えられる原因を除いていけばいいのですが、下肢静脈瘤はその存在感の低さから、かゆみなどの原因と考えられることが低く、見逃されやすいのです。

「まさか静脈瘤がかゆみや茶色くなった皮膚と関係しているとは思わない」

「もし関係していたとしても、静脈瘤の治療なんて、もっとひどくなってからやるものだ」

「少し血管が浮いてるくらいで、血管を引き抜く手術なんて患者さんにどう言えば納得してもらえるのか?」

などという考えが出てきてしまいます。

確かに、もっとひどくなってからでも遅くはありませんし、血管を引き抜く手術も今もやられている治療の一つではあります。

しかし、大事なことは下肢静脈瘤の治療はカテーテル治療が主体なので、血管を引き抜く手術を最初から行うことは少なくなっています。それゆえ、入院する必要もなく患者さんへの負担も「歯を抜くのと同じくらい、もしくはそれ以上に少ない」です。

かゆくてしょうがないから、下肢静脈瘤の治療をしようかな。

そのくらいの気持ちで十分なものなのですが、どうしても手術となると怖いイメージだったり、医師にカテーテルで下肢静脈瘤は治療可能だという知識がないと、「年だからやめておいたら?」「ストッキング履くしかないねえ」などといった言葉が全てかのように思ってしまいます。

少し前だったら、それは正しい答えだったでしょう。しかし、今はカテーテル治療は保険が適応となり、自費で何十万円というものではなくなっているのです。

今日は手術をする前の患者さんの足をみながら、そんなことを思っていました。

スネがかゆかったり、茶色かったりしたらどうぞお気軽にご相談ください。

無料で静脈瘤チェックも行っているので、「たいしたことないんだけど…」という方も大歓迎です(土曜日も不定期ですが、月に一度程度開催しています。詳しくはホームページを)。

どうぞ気軽にいらしてください。

 

静岡静脈瘤クリニック
院長  佐野 成一

お電話はこちら 054-275-0770