院長コラム

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COLUMN

2022.08.30

深部静脈血栓症とその症状について

「今年の春から足が腫れていたんですが、数週間前からだんだん張ってきた感じが強くなってきたんです。マッサージしたりしていたんですが痛みも全然よくならないので下肢静脈瘤かと思って来ました」と彼は言った。

確かに左のふくらはぎがひとまわり大きく腫れている。少し全体的に赤みを帯びているし、アキレス腱もはっきりしないほどになっている。血管がボコボコと浮いているわけではない。下肢静脈瘤によるむくみとは顔つきが違った。

僕は超音波で膝裏を調べ始めた。下肢静脈瘤もそこには存在したのだが、それ以上に深いところに大きな石のような塊が存在していた。深部の静脈に血栓があった。それはあまりに堂々としていたので、そこに血管があることすら感じさせなかった。完全に血管を閉塞していたからだ。ぜんぜん隙間という隙間がなかった。これでよくふくらはぎは頑張っているなと思った。それはまるで何ヶ月も食事を与えられていないにもかかわらず、重労働を続けさせられているようなかなり切羽詰まった状態だった。

「これはあまりよくない状況です」と僕は言った。「静脈瘤もあるのですが、深部静脈血栓症が原因で静脈瘤のようになっているだけかもしれません。いずれにしても静脈瘤が問題ではなく、深部に血栓があるということが重要です。それもすぐに大きな病院で検査をしてもらう必要があります。息が苦しくなったりすることは今までありませんでしたか」

「その病気の名前は聞いた事があります。テレビで少し言っていました。でもまさか自分がそれになるとは思っていませんでした。息苦しさはありません」

「そうですか、それはよかったです。では受け入れ先を探して電話をしますので少しお待ちください」僕は総合病院の循環器内科に電話をし始めた。コロナによって入院が制限されてしまっているので、なかなか見つからないかと思ったが幸い二件目で受け入れ先が見つかった。いつも紹介している病院で担当の先生が僕のことを覚えてくれていたので話は早かった。「今から来ていただいて大丈夫ですよ」と言ってくれたので、そのまま患者さんに伝えると外来はいつものように静かになった。待ち時間が長くなってしまったことでひとりひとりに事情を説明すると理解してもらえた。静脈瘤で命に関わることはないけれど、静脈瘤だと思って来たら深部静脈血栓症だった場合は緊急性を要する。それがたとえ3ヶ月前から腫れていたとしても、この1週間くらいで症状が強くなっていると聞くと胸にはどのくらい血栓が飛んでいるのだろうと気になってしまう。

少し足を引きずりながら紹介先へ向かう彼の背中を少しの間見つめながら、僕は次の診察を始めた。

「こんにちは、足はどんなことでお悩みですか」

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