院長コラム

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2021.03.23

スネがかゆい。かじったら茶色く広がった、何でいつまでもなおらないのか?

下肢静脈瘤というとスネやふくらはぎの血管がボコボコと浮いているのが典型的ですが、ボコボコと目立つような血管がほとんどない場合もたくさんあります。

 

いつの間にかかじったキズがなかなかなおらず、広がったしまった。そのうちに色が茶色くなってしまった。冬になるとすぐにかゆくなって、またかじってしまう。

 

かゆみ止めを塗っても一時的。でも、血管は昔から浮いている。

この血管がかゆみの原因になっているだなんて、知らなかった。

 

下肢静脈瘤の症状のうち、多いのは「重い、だるい、こむら返り、足がつる、ジンジンと変な感じがする、パンパンにむくむ、痛い」というもの。

 

かゆい、皮膚が茶色いでは、それが下肢静脈瘤からきているとは思う方はほとんどいません。

小さなキズから始まります。そしてそれはほぼふくらはぎやスネの下の方にできるのです。

 

ただでさえ、血流の悪い場所なので、そこが下肢静脈瘤になるとさらに血流が悪くなります。そのため、ちょっとした「ひっかきキズ」でも、なおるのが遅くなってしまい、その間にまた「ひっかきキズ」ができると、いつまでたってもなおらないどころか、ジュクジュクが広がってしまいます。

 

ジュクジュクしたところをなおすのにはステロイドの軟膏を用いることがよくあります。まず、ひっかくという行為をさせないことが一番大事なんです。

 

しかし、こういった皮膚の茶色さや湿疹があるかたはお風呂で「よく洗います」。

そうすることにより、皮膚の脂分がなくなってしまい、高温にさらされるため、かゆみが強くなってしまうため、さらにひっかきたい衝動によって、刺激が加わりどんどんとひどくなっていきます。

 

お風呂では「石鹸を使わない」「ゴシゴシとタオルでこすって洗わない」ようにしてもらい、入浴後はすぐに軟膏を塗ってください。すると普段よりも薬の浸透率(吸収される力)が格段に上がります。同じ量の薬を塗るのにも、タイミング一つでまったく変わってきます。

 

軟膏は確かにかゆみを止めてくれはするのですが、根本的に湿疹をなおしてくれるわけではありません。根本的な原因である下肢静脈瘤を治療することで、これらの症状を少しずつ改善することができるのです。

 

一度茶色くなってしまった皮膚が元に戻るのは長い時間が必要です。3ヶ月から6ヶ月は普通にかかってしまいます。1年くらいかけてゆっくりなおってくることも稀ではありません。

 

その間には日光に長時間晒されるのもリスクになります。日光により色素沈着が遷延してしまうため、できるだけ、直射日光にさらされないことがとても大事な要素になります。

 

皮膚の状態を常に「柔らかい状態」にするということが全ての基本となるため、それ以外の状態、つまり「硬い皮膚」「赤茶色の皮膚」「押すと凹む皮膚」「粉を吹いている皮膚」はベストな状態とは言えません。

 

ちょっとした傷からリンパ液が漏れ出て、炎症(足が赤く腫れてしまう)を引き起こすことにもなりかねません。一度蜂窩織炎のような炎症になってしまうと、皮膚は硬くなり、リンパ液の流れも悪くなってしまうため、治療に更なる時間と労力(冷やしたり、抗生剤を飲んだり、点滴したり、行動の制限)が必要となってしまいます。

 

傷が塞がれば、まだ一安心できるのですが、リンパ液が流れ出てくる小さな道筋になってしまうと、わずか数ミリの傷跡にもかかわらず、ポタポタとリンパ液が垂れてきて靴下やズボンが水浸しのような状態になってしまいます。こうなってくるとどんな薬をつけても治らず、まず「圧迫」での治療が重要となってきます。

 

圧迫治療も包帯かストッキングかで、その後の治療期間が大きく変わってきます。

ストッキングが痛くて履けない、サイズがないなどの状態では包帯を選択しますが、基本的にはストッキングでの圧迫が好ましいです。その理由は、「圧がいつでも一定にかかるから」です。包帯は巻く人や巻き方で大きく圧の差が出てしまい、難しいのです。

 

圧迫の基本は足の先端から太ももにかけて、徐々に圧が弱くなってくようにすることです。

これが逆になってしまうと首を締められてしまったような状態になってしまうため、足先に浮腫が出てきてしまい、かえって血流を悪化させることになってしまいます。

 

たかが包帯、ストッキングと思われるかもしれませんが、その時の症状に合わせて選ばないと帰って悪化させてしまうこともよくあります。実際、そのような患者さんをよく外来で拝見します。

 

一度このような状況になるとなかなか根治まで至るのは難しくなります。小さな傷からすぐに悪化することが多いからです。医者ができることは定期的に足を客観的にチェックして細かな傷ができていないか、できていたとしたらどのような対策を施す必要があるかをお話しすることです。

 

ちょっと皮膚の色が赤茶色、赤紫になったからと言って闇雲に恐れる必要はもちろんありませんが、治療をする側は常に最悪の状態から物事を見て判断し、治療法を選択しています。少しでも不安に感じた際には、ご自身で判断して悪化させることのないよう願うばかりです。

少しでも不安を抱えておられる方は、早めに受診をして下さい。当院では無料で相談も可能です。
どうぞお気軽にお問い合わせください。

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